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肩の痛み

五十肩

五十肩の症状

肩が上がらない、急に痛くなった・・・
「五十肩」とは俗名であり「四十肩」や「凍結肩」などと言われる、中年代に起こる肩の突然の痛みや肩が挙がらないなどの症状のことです。

思い当たる原因が見当たらないのに肩に痛みが出たり、過去に無理に物を持ち上げたり転びそうになって手を突いたなど思い当たる理由があることもあります。

仕事での無理な繰り返しの動作や荷物を持ち上げるなどが続くことで、肩の動きが悪くなっていくこともあります。
このようなことが原因で肩が挙がりにくい、痛くて眠れない、後ろに手を回すのができにくいなどの症状が出ます。

肩の関節が硬くなっているのが一番の理由ですが、関節の中にある関節包という関節液のある袋が硬くなり萎縮して腕が動きにくくなります。

腕と肩甲骨をつないでいる筋肉に肩板と呼ばれるインナーマッスル(深層筋)があり、その筋肉が部分的に硬くなり萎縮することで関節の動きが制限されたりします。

また肩板の部分損傷、部分断裂が見当たることもあり、年齢が50代後半の方にはこれらも考えられます。
しかしほとんどの方は、固くなった筋肉や関節を軟らかくし、肩の動きを正しい動きに戻すことで回復していくと思われます。

五十肩の痛みの原因

肩から腕にかけて痛みが現れ、特にうずくような痛みや動かすたびに繰り返す痛みなどが特徴です。
また腕の方にまで痛みがあることもあります。

夜になるとズキズキと痛み出す夜間痛も見受けられ、痛む方の肩を下にして眠ることで関節が圧迫されることによると思われます。

肩を捻るとき、挙げるとき(特に自分の肩より上へ挙げるとき)、後ろのものを取ろうとして無理に肩を伸ばしたときなどに痛みが出ます。

肩関節を包む関節包には痛みを感じ取る神経が豊富にあり、関節の圧力の変化や筋肉、腱の炎症などの痛みも敏感に感じ取ります。

炎症が長引くことで、関節周囲や肩板周囲も本来の滑らかなものから繊維状の硬いものに変わります。
上腕骨頭に骨棘ができたりします。
これは周りの筋肉の過度の牽引力によるものと考えられます。
骨棘が痛みの直接の原因でないこともあります。
痛みの原因としては、無理な動きの結果として関節に炎症が起こり、関節を包んでいる関節包の腫れにより引っ張られ、そのことによる感覚神経が痛みとして反応することによります。
また炎症状態が長く続くと動きが悪くなります。

肩の関節には肩峰下滑液胞、三角筋下滑液胞、肩甲下滑液胞があり、これらが硬くなり肩の動きが悪くなる場合が多いのです。

関節の炎症や萎縮には関節の動きを良くする施術が必要です。
当然関節とつながる回りの筋肉や腱も硬くなったり正常な動きができなくなります。

痛くて眠れない、動作のたびにズキンズキンと脈打つような痛みの場合、過敏になっていると思われますので、痛み止めの注射や飲み薬で痛み自体をやわらげるのも必要です。 痛みがあまりひどい状態で動かすと逆に痛みの反応が多く出てしまうこともあります。
痛みがひどい場合は肩を無理に動かすような治療はしません。
肩に負担のかかる動きや日常の問題点など聞かせていただきながら、肩の負担の少ない動きを説明いたします。

五十肩の運動制限

痛みとともに腕が挙がりにくくなることなどを運動制限と呼びます。

特に横から上に挙げる外転・外旋(がいせん)動作が制限されます。
この動きができないと、

「頭の後ろに手が届かない」「背中に手が回らない」「後ろのものに手をやろうとすると痛む」などの制限された動きになります。

肩の動きは肩甲骨、上腕関節、鎖骨、肋骨と連鎖する動きにより、肩の大きな可動性は得られます。

年齢的にこれらの動きが悪くなり肩関節本来の動きが制限された中で日常生活や仕事を続けると、急激な痛みが出たり知らないうちに肩の動きが悪くなるなどの症状が出るのでしょう。
特に肩甲骨は体位によっては15~18cm以上移動します。

関節・筋肉の動きを取り戻せば改善していくと思われますが、一度硬くなった動きを取り戻すのに時間がかかることもあります。
しかし人間の腕の動きは肩甲骨やそれを支える胴体(体幹)に支えられ、肩甲骨の位置や体を少しずらすことで多少腕が動かなくても補えてしまうのです。
特に肩甲骨の動き・位置が腕の動きには大きく影響します。
症状がまだ軽い内はこれらの代償作用であまり気付くことなく動かせますが、痛みやある動作ができないなど苦痛になってくることでようやく本人が気付くことになり、どこか治療に行くことになります。
痛みの原因を取り除くことで肩の本来の動きを取り戻してください。

五十肩の分類別原因

肩関節周囲炎

肩関節の不安定性になることで上腕骨頭の位置が前後下方に変異したり、関節軟骨の変形や関節唇の衰えることで、筋肉の動きの制限やバランスが崩れ関節に生じる炎症です。

突発性関節包炎
肩峰下滑液胞炎

肩峰(けんぽう)とは肩甲骨と上腕がつながる関節の上にある、皿のように丸い平たい肩甲骨の上端のことです。
その骨の下で、インナーマッスルである肩腱板が上腕と肩甲骨をつなげ、その収縮作用で肩関節は安定した動きを出すことができます。
肩板と肩峰の間を滑らせる役割として関節液のある滑液胞があり、無理な動きをしたり、年齢的な退行性変化によって滑液胞に炎症を生じます。
炎症により、関節包の硬縮、肥厚、縮小が起こります。
特に肩峰の前部は間隔が狭く滑液胞の動きが制限されますので、肩前部からの放散するような痛みや、肩を上に上げる途中で痛みが発生します。

肩峰下線維症

炎症状態が長く続いたり、年齢性の退行性変性により、正常なら潤滑で弾力があり可動性に富む肩峰下の滑液胞に繊維化が見られて一部変性して硬くなっている状態です。 年齢的に五十代後半以上の高齢者に多く見られます。
このような状態では付随的に靭帯に負荷がかかり、肩と腕をつなぐ上腕靭帯などにも繊維化がみられ、痛みも伴うかもしれません。
当然、関節とつながる筋肉(特に肩甲下筋)にも、索状の繊維化して萎縮した部分が見受けられるかもしれません。
肩と鎖骨をつなぐ靭帯にも変性があって負担がかかり、悪循環をたどるかもしれません。

癒着性関節包炎

炎症が長引きその修復過程によって、関節周囲や肩板周囲に繊維性の物質ができます。
リハビリなど正常な関節運動をしていないと、肩板の腱と周りの関節包とで引っ付いてしまいます。
これにより正常な動きができなくなり、腕を挙げたりする時に痛みが出ます。
また痛みの後放っておくと三角筋と肩板の動きが不安定になり、運動神経とそれを支配する筋肉にも癒着することもあります。
これらは自然に取れるものではなく、正しい施術が必要となります。

肩鎖関節の過敏

肩の動きの中で、鎖骨と肩甲骨をつなぐ肩鎖関節(肩の前方で鎖骨の片方向の端)に負担がかかり、痛みに対して過敏になっている状態です。
鎖骨の動きや胸の筋肉に問題があるかもしれません。
交通事故などの後遺症も関係することがあります。

肩甲上神経の過敏

肩を上げたり後ろへ捻ったりする(外転・外旋)筋肉(棘上筋・棘下筋)を動かす神経に肩甲上神経があります。
肩甲骨の位置異常や繰り返しの動作(腕を上げる動作)により、肩甲上神経が引っ張られ神経が過敏になったり、棘上筋・棘下筋を過度に使用(腕を上方・横に捻る)したり、転んで肩後部を打ち付けることなどにより、痛みの症状が出ます。

インピンジメント症候群

インピンジメント症候群

「impingement 挟み込む・挟み込まれる」ということです。 肩には主に肩や腕を上にあげたり捻ったりする動作を行う筋肉である、棘上筋と呼ばれる腱板の一部があります。 その筋肉の一部や腱が肩の関節に挟まったりする症状が、インピンジメント症候群です。

第二肩関節といわれる関節内の狭まったところを、腱板が通過しにくくなることで起こる通過障害です。

症候群ですから深刻なものではないのですが、腕を上げる時などにピリッと痛みが出たり、腕がだるい・力が入りにくいなどの症状が出ます。

スポーツで無理な練習を重ねたり、仕事で腕の上げ下げ多かったり、無理な姿勢から肩を使うなどしている方。
「自分の肩がどうなっているのか?」「このまま使い続けてもよいのか?」心配ですよね・・・
だけど、心配いりません!
肩甲骨の動きや関節の硬さを良くすれば、今まで狭くなっていた関節が広がって、筋肉の動きも良くなります。

ここで少し肩関節について説明をいたします。

肩関節は大きく動き、力も出せる関節ですから仕組みも他の関節とは違います。
肩関節には、腕を上げ下げするときに筋肉が効率よく働くようにするもう一つの機能的な関節があり、それを第二肩関節と呼んでいます。
その第二肩関節で棘上筋の腱が肩峰(けんぽう)と呼ばれる骨や靭帯、また関節に挟み込まれたりした時に痛みが出ます。
また狭くなったところ(第二肩関節)で棘上筋の繰り返しの運動により炎症を起こしたり、腱の変性・肥大化・硬直などを起こして肩の前方の痛みや運動制限、特に棘上筋の動作が制限されることで腕を上げる動作ができにくくなります。

要するに腕を上げたりする動作の中で、肩関節内の狭くなった腱板の一部の腱、が靭帯や骨に挟まったりぶつかることで生じる通過障害です。
腱が引っ掛かることで痛みが出ているのです。

軽い内は主に炎症状態や腫れる症状だけですが、長引けば腱と滑液胞の癒着・繊維化・瘢痕化などより動きが制限されていきます。
さらに我慢し続けると、腱が骨に挟まれ、腱自体が痛んだりします。
くれぐれも我慢をせず、早めに診てもらいましょう。


レントゲンでは腱や関節などは写りませんが、肩甲骨(肩峰)と上腕骨頭の間が狭くなっていたりすることが分かります。
また骨棘といわれるとげ状の隆起が見られることもあります。
MRIですと反応は出ますが、異常が無くても実際は症状が出ていることもあり、問診や検査テストにより判断することも必要です。
NEERインピンジメントテストや後方関節包の拘縮などで検査することも必要です。
特に野球やバレーボールなど、オーバーヘッドスポーツにより肩を酷使することが原因になることがあります。
肩峰下の通過障害ですから、直接腱板障害や断裂があるわけではありませんが、我慢して使い続けることで腱板や靭帯・関節唇に負担がかかりますので、早めの治療が必要です。
腱自体の変性などが無ければ原因として、使い過ぎや間違った腕の動かし方による棘上筋の緊張や硬縮、腱や滑液胞の痛みに対する感覚過敏、肩峰下滑液胞の動きが悪いことなどが考えられます。
また腕を支える肩甲骨の位置(アライメント)異常や、肩甲骨を支える筋肉の筋力低下、正常な筋出力が妨げられていることなどがあげられます。

インピンジメント症状群は野球やバレーボールでの動きの中で多く痛みが生じます

「腕が上げにくい、上がらない」「腕に力が入らない」などの症状が見られます。

腕を肩から上にあげてボールに力を伝える動作を繰り返すことにより、肩の前方(肩峰下周辺)に痛みが現れます。
症状によっては腕から指先までにかけて痛みが出たり、力が入らなくなることもあります。

また着地時に手をひねって肩を痛めた、重量のある物を頭の上に持ち上げる、重い物を手を伸ばしたまま下にして持つなどの行為により腕と肩甲骨を支える棘上筋が損傷することで、肩の運動を続ける中で肩関節の一部が挟まって通過しにくくなり、棘上筋や関節に痛みが出ることもあります。

肩の上げ下げにより痛みが生じ、肩より上、腕が頭につくぐらい(90度上げたところ)から内外方にひねると、痛みが増強します。
これは肩の第二肩関節といわれる非常に狭い関節部分で、棘上筋の腱が挟み込まれることによります。
繰り返しの投球やボールのパス、スパイクなど、腕を肩より上に上げながらの動作が肩には大きな負担になります。
このような状態で運動を続ければ、腱板の部分断裂などにつながることもあります。

棘上筋や関節は普段は腕の上げ下げの中でスムーズに連動して動くのですが、炎症や腱が腫れたり、棘上筋の動きが悪い状態では普段のスムーズな動きは妨げられます。
そのことにより腕を上げる動作で主に働く棘上筋の動きが妨げられ「腕が上がらない、上げにくい」などの症状が出ます。

症状によっては安静にしていても肩がズキズキうずくような激しい痛みも考えられます。(安静時痛といいます)
野球では投球動作中のコッキング期での腕の切り返しで、「肩の前方に痛みが出る」「腕に力が入らない」などの症状が現れます。
バレーボールなどではボール自体の重さも腕にかかりますから、余計に肩に負担があるでしょう。
ストレッチや予防運動だけでは、よほどの専門の指導でなければ予防や治療の効果も少ないでしょう。
そのうち治るだろうと我慢して使い続けることが、肩関節には一番問題です。
早めの治療と正しい予防運動を身につけましょう。

インピンジメント症候群分類 ~あなたの今の状態は~ (NEERによる)

ステージ1・浮腫および出血期-腱の機械的炎症・筋の弱化
25歳以下のスポーツ選手によく見られ、腕を上げる動作の繰り返しでの刺激による。
保存療法で経過を見ることが多く、物理療法・手技療法で経過良好なことが多い。
肩関節亜脱臼との鑑別が必要。
ステージ2・線維化または腱炎の時期-肩峰下滑液胞の線維化や関節周囲の滑膜の厚さが増す
25歳から40歳代のオーバーヘッドスポーツ愛好家や、腕を上げることの多い仕事の人によく見られる。
スポーツや仕事を繰り返すと痛みが増強し、慢性痛化することもある。
多くは物理療法・手技療法にて経過を見ることで対処できますが、変性した腱や靭帯の修復には時間を要します。
石灰沈着性腱炎・凍結肩・肩関節周囲炎との鑑別が必要。
ステージ3・骨棘形成や腱板の部分断裂または完全断裂
通常40歳以降の肩峰や肩鎖関節の骨下に見られる。
無理な運動や仕事を続けると症状はさらに悪くなる傾向があり、MRIやCTの画像診断で腱板断裂があるか確認することも必要です。
初期の部分断裂ならば保存療法で対処できますが、断裂が大きいと手術の対象になるでしょう。
肩関節の場合我慢して使い続けることでさらに様態を悪化させます。
肩甲骨周囲の筋肉の状態を良くして、肩関節に負担の少ない腕の使い方を習得することが必要です。
首からくる神経性の痛みとの鑑別が必要。

インピンジメント症候群・痛みの原因、運動痛

運動痛とは腕を動かす時に痛む、また動かした後に痛みが生じることです。
上腕を体に付けた状態から上げる途中や、上げ始める段階(初動)で棘上筋の一部が挟み込まれることで神経が痛みと感じます。

肩関節は脳中枢や脊髄中枢から近いこともあり、痛み感覚には敏感に反応するようです。
また肩の関節には神経の終末が多く集まっており、感覚神経が過敏になっている状態では非常に激しい痛みになります。
一時的に炎症状態があれば痛みは続きますが、肩を正しい動きに戻すことで痛みも治まります。
また痛みが激しいからといって症状が重いとは限りません。
痛みに対する感覚神経が過敏になり痛みの閾値(痛いと感じす限界点)が下がり、少ない痛みでも大きく感じることもあります。

棘上筋の部分断裂や関節唇損傷があればすぐの手術適用も考えられますが、安静療法・リハビリでしばらく様子を見てから手術するかどうかを考えるのが一般的です。
痛みがあるがなんとなく痛む状態でも投げられる状態は、棘上筋や関節に異変が生じた状態であり正常な筋肉の動きや関節の動きができず、その結果本来の肩の動きが悪くなっています。

肩のような大きな可動域はボールを投げたり、物を持ち上げる動作で負担は大きくなります。
痛みを生じているところとしてこれ以外に、第二肩関節を形成する烏口肩峰靭帯・肩峰下の骨自体の痛み・肩鎖関節・棘上筋を支配する運動神経である棘上神経と筋肉との癒着などが考えられます。
激痛があっても痛みを強く感じているだけで腱自体に損傷があるわけではありませんが、症状が軽い内に施術することが必要です。

無理に使い続けても悪くなった関節の動きでは、腱板や関節・靭帯(烏口上腕靭帯・肩甲上腕靭帯)に無理な負担がかかり、腱板損傷・関節唇損傷につながります。
我慢すると肘や肩の他の筋肉にも負担がかかり、悪循環につながります。

より専門的に知りたい方へ(上級編)

インピンジメントの原因として関節の硬さ・筋肉の緊張・関節の不安定があり、肩峰下や第二肩関節での通過障害をインピンジメント症候群と呼びます。

原因の一つ目として、アライメント(位置)の問題
上腕骨頭の位置が上方に変異、または持ち上がった状態が見受けられます。
また肩甲骨の位置が変化し、肩甲骨の端である肩峰部分が正常な位置から変化し前下方になり、肩峰と上腕骨の隙間が狭くなっています。
上腕骨頭、特に棘上筋付着部である大結節の位置や可動性、肩甲骨の前方傾斜角・外転変異、腕を上げる際肩甲骨の正常な内転・拳上・上方回旋動作不足などが考えられます。
これらの動作は僧帽筋・三角筋・腱板筋群などの作用が正常に作用することが重要です。
腱板は棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋肉が肩関節内で一つにつながるところで板状になっています。
原因の二つ目は、直接の痛みの原因である棘上筋の過緊張による棘上筋腱の腫れや炎症による通過障害
棘上筋はオーバーヘットスポーツや、手で物を持ち運んだり頭上に持ち上げたりする際に、肩関節の支点として作用する関節の安定に重要な筋肉です。
また手を突いたり、コンタクトスポーツの中でひねったりすることで肩を痛めたりします。
これによりインナーマッスルの一部である棘上筋(筋腱付着部)に緊張帯やトリガーポイントが発生し、筋肉の正常な動きは制限されます。
そして棘上筋が肩峰アーチ下を通過しにくくなり、痛みが出ます。
腕の重さは3kgあり、痛めた筋肉では支えるだけでも負担になります。
棘上筋にトリガーポイントなどが発生すると関節内での正常な上腕骨頭の滑りは妨げられ、三角筋の作用が強まり上腕骨頭は上方へ引っ張られ、なおさら第二肩関節の空間が狭くなり、棘上筋付着部である大結節の通過も不安定になり痛みへとつながります。
原因の三つ目として、肩関節の不安定性の二次的要因によるインピンジメント・圧迫性疾患
先天的また過去の怪我により肩関節が前後下方に動揺性が大きいか、また動きが正常でないなどが考えられます。
不安定性を示すデータとして上腕骨頭変異として、前方平均7.8ミリ、後方7.9ミリ、下方10ミリの不安定が見られたというものがあります。
関節包が緩かったり、筋力低下によるものもあり、これらの状態で無理に動かし続けることで起こると考えられます。
その他に烏口肩峰靭帯の拘縮・関節下方組織の拘縮・棘上筋の滑走性・肩峰下滑液胞の動きの低下や痛みの過敏性・大結節の動き・肩甲骨の内方傾斜角の増加・前方傾斜角などあげられます。
このことにより第二肩関節とよばれる烏口突起・烏口上腕靭帯・肩峰から構成される肩の屋根と呼ばれる烏口肩峰間弓(C-Aアーチ)の間に、棘上筋が挟み込まれたりぶつかったりしてスムーズに動かない状況になり、痛みが出るのが原因です。
そのことで腕が上がらないなどの運動制限や、棘上筋や肩峰下滑液胞、烏口上腕靭帯に痛みが出ます。
肩峰下の形状が隙間の少ない形であるなど、先天的に肩峰自体の骨の形状に問題があることも影響します。
肩甲骨のアライメント(位置)異常が、肩甲骨の外方先端にある肩峰の位置異常につながります。
もちろん肩甲骨は腕を動かす動作では大きく動き、動きの中で上腕とともに決まった角度で動きます。
この動きを肩甲上腕リズムといいます。
これは三角筋と棘上筋の関係で腕を上げる時の上腕関節と肩甲骨の角度を示しますが、肩甲骨の動きはさらに僧帽筋の影響を大きく受けます。
棘上筋と肩峰下滑液胞との癒着は肩甲上腕リズムの破たんにつながり正常な肩関節の動きはできず、痛みはさらに周りの腱板や肩甲帯に影響を及ぼすことになります。
「腱板や靭帯を痛めてしまわない間に治療する」「仕事や運動を控える」「肩に負担がかからない動き方を習得する」ことが必要です
治療の中で今の肩の状態や姿勢からくる肩への負担が、どこが原因か詳しく説明します。
今の生活で何が問題かも、話の中から考えていきます。

腱板炎

腱板炎とは?~腱板炎といわれましたが大丈夫でしょうか?~

腱板炎とは肩を支えるインナーマッスルである腱板が一時的な炎症状態にあり、腫れたりすることで肩が上がりにくいなどの症状が出ることです。
炎症ですので一時的に腫れたり、熱を持つことで痛みを生じることもあります。
レントゲンでは骨しか写りませんので、腱板などの筋肉の詳しい状態は分かりません。
MRI検査で関節内の腱板に炎症反応があるかどうかを見る必要があります。
それと並行して筋力検査で、腱板の筋力が落ちているかを調べる必要があります。

ここで腱板について簡単に説明します

肩を動かす筋肉の中の関節の一番深いところに、インナーマッスルの腱板があります。
野球選手が肩を痛めたりしやすいところです。
腱板には4つのインナーマッスルがあり、関節内で一つに集まり腕の付け根につながります。
この一つに集まったところが板のように見えるため、腱板と呼ばれます。
肩を上げ下げしたり、ボールを投げたり、繰り返し力が加わることで炎症が出たりします。
一時的な炎症ですからしばらく様子を見ることで治まることもありますが、痛みが続いたり繰り返すようではどこか肩に問題があるでしょうから治療することを勧めます。
くれぐれも我慢して肩を使い続けないように気をつけましょう。気が付いたころには腱板を痛めていることもあります。

腱板断裂について・完全断裂と部分断裂

部分断裂はリハビリで対処できます。
一般的には肩が痛い、四十肩・五十肩、スポーツで痛めたぐらいでは急には腱板の断裂は考えにくいです。
転んで手をついて肩をひねったり、スポーツで激しく肩をぶつけた、格闘技で腕が伸びた状態でひねったなどが原因でないと、腱板断裂(腱板が完全に切れる)は考えにくいです。
この場合の断裂とは、腱板のすべてが切れてしまう完全断裂を示します。

野球肩

1.野球肩の症状

野球肩とは、投球動作の繰り返しにより肩関節や腱板(インナーマッスル)に痛みが出たりする症状のことです。
野球以外にもテニスやバレーボールなど、腕を肩より高く上げる動作の中でボールに強い力を伝える必要のある動作(オーバーヘッドスポーツ)に多く発生します。

軽くは投げられるが、力を入れると痛い。
肩に力が入らない、投げる最中に力が抜ける。
全力で腕を振れない、投球回数を増やすと痛みが出てくる。
以前痛めたところが気になり、全力でプレーできない。

などの症状で悩むことが多いと思われます。

アクセレレーション期

圧痛部位

投球動作の中でも特にコッキング期(肩関節90度外転・外旋)の腱板の負担や肩甲骨・腕の動き、フォロースルー期の肩への負担(引っ張る力)などがあげられます。
これらの動きの中で腱板炎・腱板疎部損傷・腱板部分断裂・インピンジメント症候群・関節唇靭帯の損傷・SLAP病変などが発生します。
これらは関節の深くにあり、肩甲骨と腕を直接つなぐ重要なところで故障の直接の原因にもなり、一度痛めると良くなるには時間がかかります。

靭帯や腱の部分的な損傷や断裂は、病院で診てもらうことになります。
損傷があるからすぐ手術、というものではありません。

当院での方針はまず肩周りのインナーマッスルとアウターマッスルの状態を良くして、さらに肩甲骨や背中の硬さを見ていくことで崩れたフォームを良くしていきます。

急に痛みが出た場合は治療することで痛みが引くことが考えられますが、繰り返す痛みや長引く痛みはその分肩関節や腱板も硬くなっていたり、弱くなっていることもありますから定期的な治療が必要です。
投球フォーム(スパイクやシュート)の乱れには原因があります。
その乱れを取り除くことで肩への負担は少なくなります。
無理して投げ続けることは肩だけでなく、肘の障害につながることもあります。
おかしいと思えば専門院での治療が必要です。

2.痛みや対処方法について ~成長期と成人期では対処方法が違います~

成長期

骨の成長過程にある年代(リトルリーグ)では骨からの痛みが原因となり、思うような動きができない症状が現れると考えられます。
ボールを投げる動作はこの年代ではまだ骨の強さが十分ではなく、肩や肘の骨には大きな負担になります。

特に骨端線と呼ばれる骨の成長する部分が、運動により引っぱられて痛みが出ます。
痛みにより筋肉も硬くなります。
レントゲン撮影で異常は分かるでしょう。
周りの大人が早く痛みに気付き、症状が軽いうちに専門医に診てもらいましょう。

痛いのを我慢して投げ続ければ、肩だけの痛みから崩れた投球バランスからくる肘の痛みやけが(上腕骨小頭障害など)につながり、治るのに余計時間がかかることになります。
この肘が成長過程で一番重要な障害が起こります。
肘関節は骨同士がぶつかる個所が多いためです。

成長途中では骨の強度も十分ではありません。
骨の問題以外にも筋肉・腱もまだ十分な強度がありませんから、腱板炎などの症状により肩から腕に投げる時に痛みが現れます。

成人期

年齢が上がるにつれ練習量も増え、ケガによる痛みも多くなります。
筋肉も骨もほぼ成長し、練習をより強くしてもよい時期でしょう。

代表的な腱板損傷では腕を挙げる動作で痛む、肩関節の前・後下方の不安定性、腱板部の痛み(肩前方)が考えられます。
関節内圧の変動が投球動作の中で起こり、痛みに関係します。

インナーマッスルといわれる腱板炎、棘上筋が関係するインピンジメント症候群などリハビリ治療による保存療法で回復が見込めるものや、腱板部分断裂、関節唇損傷、靭帯損傷、SLAP病変の手術適応となるものもあります。
これらに損傷があると損傷部位からの痛みだけなく筋肉や関節の正常な動きは妨げられ、また痛みにより筋肉や腱も収縮した状態になります。

肩関節や腱板は神経が多く集まり、痛みには敏感に作用します。
しかし痛みに鈍感(痛みを我慢してしまう、気付かない)人は、これらの症状がかなり進行してから気付くことになります。

痛めたところが良くなるには時間がかかり、手術ということにつながりかねません。
痛みがあるということは体からの「痛めたところを治すため、回復させるため休みましょう」という大事なサインです。

我慢せず休養したり、専門医に診てもらうことが必要です。
我慢して投げ続ければケガの部分も大きくなり、神経や筋肉の働きも痛みに慣れてしまい、本来悪くて痛いはずが分からなくなってくることもあります。
また痛みから間違った働きを起こすことにつながります。

成長期では安静にして数か月様子を見るのが一般的です。
成人期では練習量も増えますから負担の少ない投げ方をできるよう、肩の周りの筋肉のバランスを整えることがよいでしょう。

3.野球肩の原因 ~繰り返しの動作・乱れたフォームから生まれます~

繰り返しの投球動作により関節や筋肉・腱に負担がかかり、特にコッキング期前後の動きでは90度外転外旋角度では肩の関節が狭くなり腱板に大きな負担がかかります。

また投球動作の中で各段階(位相)により、痛めやすいところや負担のかかるところも違ってきます。
投球動作中90度外転外旋位で加速期では、体重の50%の力が関節内の腕の骨にかかるというデータがあります。
さらに各個人の投げ方のくせや疲労が残るなどして一部の筋肉の状態が悪い中で投げ続けると、さらに負担がかかり痛みや損傷につながります。

肩関節はどこか一部分(例.棘下筋など)が硬い・緊張した状態でも、投げられることが多いものです。
これを続けるとケガにつながります。

身体機能を改善し、負担のかからない動きを身に付ければ良いものです。
痛みはいろんな原因が絡み合い、その結果現れます。
肘の位置などは代表的な判断ですが、骨盤や股関節、足の重心の移動など・・・
整体治療で肩だけでなく、肩関節の動きを良くする・負担を少なくする投げ方を得る手助けになるでしょう。

またレントゲンやMRI撮影では静止した状態で撮影するため、実際の活動中に腱や筋肉の状態を推測するには限界があり見落とされることもあります。
投球動作の中での痛みについては、負荷をかけての徒手テストや投球動作のくせも判断の一つになります。

痛みの部位(例.棘下筋)はその時の関節運動とそれに伴うストレスに関係し、痛みの発生要因を投球動作や身体機能・肩甲帯アライメント・上腕骨頭の位置・腱板機能性・柔軟性などから分析することが必要です。

投球の場面(位相)が違えば働く筋肉も違い、同じ筋肉でも位相が変われば収縮から関節の固定作用に変わりまた遠心性収縮に作用が変わることもあり、どの場面でここが痛むとははっきり判断するには難しいこともあります。
これらは身体機能低下・破綻のほか誤った投球イメージ・タイミングのずれ・心理的ストレスからも発生します。
投球動作は全身の動きを利用した関節連鎖により大きな力をボールに伝えますから、痛みの原因は様々な要因が考えられ一つの問題が解決しても改善しないこともあります。

4.野球肩リハビリに必要な考え

損傷があるから即手術というわけではなく、負担のかかる間違った投げ方や筋力が十分に使えていない、一部分の筋力が不足しているなどの理由が考えられます。

骨を動かし関節運動を行うには、骨に付着する筋肉や腱による力の発生が必要になります。
これらの筋肉や腱の状態を回復させ、機能を向上させることで投球に伴う腕の動きや肩甲骨の動き・安定性・固定力の向上につながります。

また、体幹(腹壁筋)や股関節の動き、足関節・足底の体重移動などを見直すことで肩に負担が少なく安定したフォームを形成でき、肩の障害を治してゆくことにつながります。
痛み止め注射でその時は痛みが取れても、負担のかかる投げ方では再発することが考えられます。
原因となるものは何か考える必要があります。

野球肩辞典

入門編

スポーツ障害は原因を分析して、損傷した部分を治療する必要があります。
痛みや損傷の発生メカニズム、発生した過程を理解することが、再発防止やその後のリハビリ・トレーニングの効率につながります。

野球肩では投球動作により負担のかかる場所が違います。
位相ごとの基本動作や使われる筋肉を理解せず、筋力が弱かったり働きが悪い乱れた投球フォームは肩・肘に負担がかかり故障の原因になります。

投球障害のメカニズムを理解するには各選手のフォームと関節機能、痛みの解剖学的部位、痛みの発生する位相、ストレスの加わり方を総合的に分析し判断する必要があります。
たとえば腱板炎では同じ診断名がついても痛みの発生する位相が異なると、問題となる関節運動や負担のかかる筋も違います。
コッキング期ではインピンジメントや腱板疎部の機能不全など挟み込まれる圧迫・求心性の動きによる痛みですが、リリース期からフォロースルー期では腱板に遠心性の負荷がかかり筋肉を伸ばしながら力を発揮していますので肩の後方に痛みが出たりします。
同じ肩後方(三角筋後部・棘下筋)でも、コッキング期の肩外転動作に移る時(求心性収縮)に痛めることもあります。

一般的に最も肩や肘に負担の生じやすい位相は、肩最大外旋位の前後となる後期コッキング期から加速期にかけてである。
さらに肩甲上腕関節に不安定性があるとコッキング期にはインピンジメント(圧迫)、遠心性収縮のフォロースルー期では引っ張られる力(牽引力)により腱板損傷につながります。

各位相には決まった動きがありますが、各個人により生まれ持った強さもあり各選手の特徴を理解することも必要です。
投球動作にはワインドアップ期・早期コッキング期・後期コッキング期・加速期・リリース減速期・フォロースルー期に分けられます。

ワインドアップ期
直接肩への負担はありません。
片脚立位の安定性・重心移動のスムーズさが求められます。
早期コッキング期
投球動作に入るため腕を後ろに振りかぶり肩関節90度外転外旋・水平伸展動作に入り、腱板のなかでも外旋筋である棘下筋小円筋や三角筋後部が収縮します。
この筋肉は肩甲骨から肩後方につながる平たい筋肉です。
この時、肩の前方にある三角筋や肩甲下筋(腱板)が引き伸ばされることで、肩前方の組織に痛みが出たりします。
後期コッキング期
肩外旋動作から切り替えし、胸を張り膝や股関節骨盤のひねりも加わり、大きな力が発生します。
この時に肩外旋動作は肩甲上腕関節(上腕骨自体の動き)と肩甲骨の後屈動作・上方回旋に影響されます。
早期コッキング期からの肩甲骨の動きが重要になります。
加速期
肩の外旋から内旋に切り替わり腱板疎部には大きな外力が加わり、狭小化した肩峰下に痛みが出やすくなります。
肩内旋筋(大胸筋・肩甲下筋など)が作用します。
また上腕骨内旋動作に入り、肘関節に外転に引っ張られ肘内側に負担がかかります。
リリース減速期
肩の内旋(上腕骨内旋)と前腕の回内運動により、指先からボールが離れ出します。
この時、肩の後方(腱板・三角筋後部・三頭筋長頭)には引っ張られる力(遠心性収縮)が大きく働きながら、力を出していきます。
この時に肩の後方に痛みが生じたり、疲れが出ます。
フォロースルー期
腕を降りぬいてボールは離れた状態です。
指先には遠心性の力が働き血行障害につながります。
腱板と三角筋
腱板は小さな筋肉で肩の力発揮に大きく関与するのではなく、上腕骨骨頭を肩甲骨の臼蓋に適切な位置関係を保つために作用する機能重要です。
上腕骨頭を臼蓋に取り込む作用があります(棘上筋)。
上腕の動きを(上腕を上げた位置)安定化させる作用もあります(肩甲下筋)。
また腱板にはブレーキ作用の働きがあり、減速期には投球動作のあと上肢を元に戻す作用があります。
野球のような外転・内外旋を繰り返す動作では、肩の外転角度や内転伸展動作の中で腱板の中でも作用する筋肉が違ってくることが考えられます。
肩には肩関節を大きく覆う三角筋という筋肉があります。
腱板のインナーマッスルに対してアウターマッスルといわれるものです。
腱板の機能が弱り三角筋の作用が強いと肩甲上腕リズムがくずれ、正常な動きから外れ関節や腱板にも負担がかかります。
腱板とは違い三角筋は大きな力を発揮する筋肉です。
肩関節を中心にして上腕骨を動かすには肩甲骨の動き・安定性・支持性が必要になり、肩甲骨を支える僧帽筋・前鋸筋・肩甲下筋の作用が特に需要になります。
特に僧帽筋の筋力向上安定化や正常な筋出力を回復させるトレーニングが必要になります。
この他に股関節の動きや体幹筋、足底にかかる重心移動がスムーズにできているかなども、投球フォームに影響し肩の痛みにつながります。
足底板作成により重心移動がよくなります。
足に捻挫の後遺症があったり、足底の感覚が鈍い人は足底板を作成することを進めます。
リトルリーガー肩
小学高学年ではリトルリーガー肩といわれる、上腕骨が成長過程にある中で無理に投球動作を繰り返すことで骨の成長を促す骨端線に異常が出たりします。
これはレントゲン撮影で確認ができたりします。
高校低学年ぐらいの年代では骨が成長過程にあり、無理な投球動作や過度な投げ込み回数による上腕骨に過度の引っ張る力(牽引力)が働き筋力がまだ十分でないこれらの年代では障害が出ます。
投球制限による無理な負担を避けることで回復が望めると思われます。
リトルリーガー肩の他、肘もこれらの年代では好発する症状です。
成長途中の障害ですからしばらく(2~3か月)、安静に様子を見ることで回復すると思われます。
無理して使い続けると後で手術適応となり、後に障害を残すことにもつながりかねません。
スポーツ障害に詳しい病院でレントゲン撮影をした後、正しい投げ方や体の使い方を習得することが望まれます。
人それぞれ個人差がありますが、骨の成長の指標になる骨端線の閉鎖が15~16歳あたりですから、この年代までは骨に負担をかけすぎない方が良いでしょう。

投球

投球に必要な肩の機能
1.上腕骨頭の取り込みが正確にできているか
この作用の正確性には棘上筋(腱板を構成する筋)が正常に作用する必要があります。
肩峰下や第二肩関節(烏口肩峰アーチ)での狭窄がなく、筋肉の正常な弾力性・収縮性が必要です。
これらの部分に何らかの障害(本人が気付いていない場合もあります)があれば、肩前方の痛みや違和感につながります。
肩関節を安定させ痛みなく運動するには、投球の瞬間に肩甲骨の臼蓋(関節部)に対して上腕骨頭が求心位を得る必要があります。
この作用には棘上筋・三角筋の直接上腕を拳上作用のある筋肉がバランス良く作用する必要があります。
2.肩甲骨の可動性と固定力は十分保たれているか
腕の拳上には肩甲骨の内転作用が必要で肩甲骨が脊柱に近づくような動きになります。
この動きに必要なのが僧帽筋と呼ばれる筋肉です。
特に上部の線維が重要で筋肉の状態を良くしたり、トレーニングで筋力や筋出力のタイミングを良くすることが必要です。
背中に付着する扁平な筋肉ですので、僧帽筋の部分別のトレーニング法をマスターすれば簡単にできます。
また前鋸筋と呼ばれる肋骨から肩甲骨内側全体に付着する筋肉があり、僧帽筋とともに腕を挙げる動作では肩甲骨固定に重要です。
この二つの筋肉はベクトル(偶力)作用により、肩甲骨の動きの中で可動性を生みます。
腱板の中にも安定化させる筋肉があり、肩甲下筋と呼ばれる肩甲骨の下部全体から腱板の前方部分を覆い腕の動きの中でも腱板の厚さを変えたりする作用があり、前方下部から支えるような作用をします。
この筋肉は羽状筋と呼ばれ、三角筋のように大きな力を出します。
3.最大外旋位での安定性
投球動作では肩関節が90度外転での最大外旋位の柔らかさや安定した動きの中で次の動作に移れることが必要です。
コッキング期での切り返す動きがこの動きになります。
腱板に一番負担がかかるところです。
この外転外旋位での筋力発揮を正確に行うには肩甲骨が上方回旋位で固定され上腕骨頭が正常に取り込まれる必要があります。
肩甲骨の機能 ~腱板の機能を最大限に出すためには~

投球動作で肩に力が入らないケースがありますが、これは筋力が弱っているのではなく力の出せるアライメントに問題があります。

上腕骨頭の位置・肩甲骨の外転角・前方傾斜角や肩甲骨の後屈から前屈にスムーズに切り返せるかが影響します。

このような場合弱いから強くするというものではなく、乱れたアライメント(位置)を元に戻す・正常な状態にすることで力が出る環境に戻すことが必要です。
その上で筋力トレーニングをすれば、フォームの安定につながります。

投球動作は全身運動ですから、その力をいかに効率よく伝えるかが重要になります(関節連鎖)。
肩の筋力が弱くて力が入らないのではなく、動作中どこかに乱れた動きがあり(上腕骨頭がコッキング期に前方に突っ込んだ状態で肩関節を圧迫するなど)、腱板の筋出力が正常に出せていないことによります。

そのためにはストレッチやエクササイズも必要ですが、乱れた動きはなかなか個人で修復するのは難しく、施術(関節マニュプレーシオン・トリガーポイント治療・アポライドキネシオロジー・PNF)の手技療法で正常な動きを学習してから筋力トレーニングにとりかかるのが良いと思われます。

乱れた動きのままでは筋肉は正常には働きません。
腱板のエクササイズを続けているのに肩に力がないのはこのことによります。
また肩甲骨が固定されない状態でいくら腱板強化しても、腱板が投球動作で使う動きではなく効果は薄れます。
腱板強化の前に支えている肩甲骨の動きを良くする必要があります。
肩甲骨周囲は肩甲帯と呼ばれ肩甲骨を支える筋肉を指します。
投球動作では大胸筋・広背筋も含まれます。
トレーナーがいれば肩甲骨の動きを見ながら投球動作を分析してもよいでしょう。

関節連鎖で投げる

筋肉は骨にらせん状についており、捻る動作に適すると思われます。
人間の動作は回旋動作が自然な動きです。
筋肉が固く怪我があるとこの回旋運動は妨げられ直線的なぎこちない動きになります。
人の身体を動かしているのは主に二関節筋と呼ばれる二つのまたがる関節運動に関係します。
この筋により体の各関節が運動連鎖を起こすことができます。
肩の動きは肘の影響を受けまた足首から膝そして股関節・骨盤へと関係します。
プロ野球のベテラン選手は長年の経験から自分に合ったこの動きを習得することで、選手寿命が延びていると思われます。
力を抜いて関節の連鎖で投げるイメージを持つことが必要です。

腱板疎部とは

烏口突起と肩峰下の烏口肩峰アーチ下にあり、棘上筋と肩甲下筋の付着部の間隙で薄い滑膜に覆われた関節包と結合組織からなる解剖学的に抵抗に弱い部分です。
その間を上腕二頭腱や烏口上腕靭帯が存在し複雑な形態を示します。
野球のように急な外旋、内旋動作により棘上筋と肩甲下筋の走行・作用の違いが腱板疎部機能の破たんを起こします。
症状として肩関節周囲のだるさや内旋位での緩みを呈する不安定型(タイプ1)と、拳上や外旋制限を示す拘縮型(タイプ2)があります。
肩拳上位内旋位で痛みが生じ関節内圧の変動が腱板疎部を圧迫することが原因の一つです。
症状が軽い間は投球を休み腕を挙げる動作や内外旋動作をしないことが必要で、炎症を抑えることが必要です。
3週間程度の安静で95%回復するというデータもあります。
しかし無理をして使い続けると治りも悪くなり、投球時の痛みに悩まされることになります。
症状が軽いうちや繰り返し痛みが出ない間に治療することが必要です。
症状が思わしくない人は手術対象になりなすが、そのデータは5%といわれています。
腱板疎部に負担のかからない投球動作を身に着けることが望まれます。